脊椎の治療に用いられる術式の種類・一覧
脊椎・脊髄の手術は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)などの疾患により、神経が圧迫され、痛みや麻痺が起こり、保存療法でも改善しない場合に行われます。
脊椎・脊髄の手術方法は大きく3つあります。
1つ目は、圧迫された脊髄や神経根などへの圧力を取り除いて症状を緩和する除圧術、2つ目は、グラグラと動いて不安定な脊椎を固定する固定術、3つ目は、外傷や脊椎の変形を正常な状態に正す矯正術があります。疾患の部位や状態、医師により適応する術式は異なります。
疾患部に対して代表的な術式を紹介します。
頚椎(首)の疾患に適応する術式
- 頚椎固定術(けいついこていじゅつ)
- 頚椎椎弓形成術(けいついついきゅうけいせいじゅつ)
- 内視鏡下椎間板摘出(切除)術(ないしきょうかついかんばんてきしゅつじゅつ)
- 内視鏡下椎弓形成術(ないしきょうかついきゅうけいせいじゅつ)
胸椎・腰椎(胸・腰)の疾患に対する術式
- 椎弓切除術(ついきゅうせつじょじゅつ)
- 椎弓形成術(ついきゅうけいせいじゅつ)
- 完全内視鏡下脊椎手術(FESS)(かんぜんないしきょうかせきついしゅじゅつ)
- 硬膜外神経癒着剥離術(こうまくがいしんけいゆちゃくはくりじゅつ)
- 腰椎側方椎体間固定術(XLIF)(ようついそくほうついたいかんこていじゅつ)
- 脊髄刺激療法(せきずいしげきりょうほう)
- 脊椎固定術(せきついこていじゅつ)
- 椎間板摘出術(ついかんばんてきしゅつじゅつ)
- 脊椎側彎症手術(せきついそくわんしょうしゅじゅつ)
- 内視鏡下脊椎固定術(ないしきょうかせきついこていじゅつ)
- 椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)(ついかんばんないこうそちゅうにゅうりょうほう)
- 経皮的椎体形成術(BKP)(けいひてきついたいけいせいじゅつ)
次はそれぞれの術式について解説していきます。
椎弓切除術
椎弓切除術とは、椎弓の一部(骨や靭帯)を切除して脊柱管を広げ、神経の圧迫を和らげる手術の術式です。
●対応疾患:腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)など
椎弓形成術/除圧術
椎弓形成術(脊柱管拡大術)とは、椎弓に切り込みを入れ、狭くなった脊柱管を広げ、脊髄や神経根の圧迫を取る(除圧)手術の術式で、広げた部分には、人工の骨や自身の骨を入れます。狭窄している部分が小さい場合は、椎弓切除術を選択し、広範囲の場合は、椎弓形成術を選択することが一般的です。
●対応疾患:頚椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)など
椎間板摘出術(内視鏡下椎間板摘出(切除)術)
神経を圧迫している椎間板を摘出する手術です。
●対応疾患:頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんへるにあ)、腰椎椎間板ヘルニアなど
脊椎固定術
頸椎、胸椎、腰椎、仙椎に行われる手術で、異常に動いているまたは動く可能性のある脊椎にボルトと棒などを使って固定することで脊椎の安定をはかる手術です。
●対応疾患:腰椎すべり症、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症など
頚椎固定術
首の椎間板を摘出し、神経の圧迫を取り除き、自身の骨や、人工物(インプラント)をなどで固定する手術です。疾患の場所により、前方、後方のアプローチがあります。
●対応疾患:頚椎症性脊髄症、頚椎椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症など
脊椎固定術
脊椎固定術とは神経を圧迫している靭帯や骨を切除して、神経の圧迫を取り除いたあと、変形した椎間板に人工物(インプラント)や自身の骨などで固定する手術です。脊椎固定術には後側方固定術(PLF)や後方侵入椎体間固定術(PLIF)といった方法があります。
●対応疾患:すべり症、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症など
完全内視鏡下脊椎手術(FESS)
完全内視鏡下脊椎手術(FESS)は内視鏡でヘルニアを取り除く低侵襲な手術方法です。
●対応疾患:腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、頚椎症性神経根症など
椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)
椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)は椎間板内に薬剤を注射して、ヘルニアによる神経の圧迫を弱める方法です。
●対応疾患:腰椎椎間板ヘルニア
脊椎・脊髄の手術をご検討中なら、専門の整形外科へ
脊椎・脊髄の疾患は、広範囲にわたり様々な症状がでるため、何かおかしいと思った場合には専門医の下で検査を受けることをおすすめします。
整形外科は、医師によって専門分野が異なり、脊椎・脊髄(首・腰)を専門で診察するドクターもいます。 原因がわからずにいる場合は、CT・MRIなどの画像検査を行い、ご自身の状態を正確に知り、適切な治療を行っていきましょう。