脊椎(せきつい)・脊髄(せきずい)疾患の痛みの原因
首や腰の痛みの原因はさまざまですが、加齢による脊椎や椎間板の変形によって引き起こる病気(疾患)が多いと言われています。ここでは、加齢以外の原因をご紹介します。
首(頚椎)が痛む原因
首は、頭の重みを常に支えながら前後左右動かしたりと、複雑な動きをコントロールするため負担がかかりやすい部位です。加齢による首の筋肉の低下や、運動不足による首の可動域の減少すると、筋肉の緊張や疲労によって首の筋を違えたり、血行不良からくる首こりなどにより痛みを引き起こします。
- 加齢による筋力低下
- 筋肉の緊張や疲労
- 首の関節の炎症や損傷
- ストレス
ここからは、それぞれの原因について解説します。
加齢による筋力低下
加齢によって頚椎そのものが老化することで、頚椎がすり減ったり、クッションとなっている椎間板(ついかんばん)の変形が生じると、慢性的な痛みやしびれを起こすようになります。
筋肉の緊張や疲労
姿勢の悪さやデスクワークなどの労働環境によって、長時間同じ姿勢で首の筋肉が固定され、過剰な負荷がかかることにより、筋肉が緊張や疲労を引き起こし、首の痛みを引き起こすことがあります。
近年では、スマートフォンの使用によりストレートネック(首のアーチがなくなりまっすぐになること)で首への負担が増え、コリや痛み血行不良を引き起こす「スマホ首」が原因のこともあります。
首の関節の炎症や損傷
首の関節に炎症が起こったり、損傷がある場合には、痛みを引き起こすことがあります。これは、急激な動きや事故などによって引き起こされることが多いです。
ストレス
ストレスが原因で、身体が緊張した状態が続くことによって、首の痛みを引き起こすことがあります。
腰・背中が痛い原因
腰痛は、日本の国民病ともいえるほど罹患者が多い疾患です。自覚している疾患ランキングでも腰痛は男性第1位、女性2位という調査結果です。※1
腰痛の原因はさまざまですが、原因が特定できる腰痛(特異的腰腰痛)は、わずか15%程度といわれており、残りの85%はレントゲンなどの検査をしても原因が特定できない(非特異的腰痛)といわれています。
※1参考:厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査の概況」
原因が特定できない腰痛(非特異的腰痛)は下記のような原因が考えられます。
- 筋肉の低下
- 体にに負荷がかかる姿勢や骨格の歪み
- 椎間板や腱、靭帯などの損傷や捻挫などの怪我
- 体全身の血行不良からくる腰痛
ここからは、それぞれの原因について解説します。
筋肉の低下
加齢や運動不足によって腰を支える筋肉が衰えると、腰椎への負担が増加して、腰痛や症状の悪化に繋がります。また運動不足は筋肉の柔軟性も失わせます。その結果、筋肉が固くなると、筋肉内の血管を圧迫し、血行不良から慢性的な腰痛を招きます。
体にに負荷がかかる姿勢や骨格の歪み
加齢などの脊椎骨の変形や椎間板のクッション機能の低下によって、脊椎の可動域に制限がかかり、姿勢悪化に繋がります。その結果、骨格の歪みにより神経の伝達の悪化や筋肉の緊張からくる筋肉疲労によって血液循環が悪くなり、腰痛を引き起こします。
椎間板や腱、靭帯などの損傷や捻挫などの怪我
腰の中の動く部分(関節)や軟骨(椎間板)に許容以上の力がかかってけがしたような状態(捻挫、椎間板損傷)、腰を支える筋肉やすじ(腱、靱帯)などの柔らかい組織(軟部組織)の損傷によって痛みを生じます。
急に重たいものを持ち上げようとしたとき、腰をねじるなどの動作をした場合に起こるぎっくり腰(急性腰痛症)なども腰の筋肉やすじ(腱、靱帯)の損傷が原因と言われています。建築業や農業に携わる方は腰痛リスクの高い職業ですので、注意しましょう。
体にに負荷がかかる姿勢
立ったままの姿勢が長時間続くと、重たい上半身を下半身で支えることになり、腰に大きな負担がかかります。立ち仕事の多い販売員や接客業、警備員などは、腰痛が職業病になりやすいといわれています。また、長時間のデスクワークで同じような姿勢を続けていると、腰に負担がかかり背骨のS字カーブを崩してしまいます。
体全身の血行不良からくる腰痛
血管が圧迫されることで、神経への血流が悪くなり、しびれを起こすこともあります。姿勢の悪さや喫煙(ニコチン)、ストレスなども血行不良が起こるため腰痛の原因のひとつとされています。
腰・背中の痛みで考えられる病気
- 頚椎症
- 後縦靭帯骨化症
- リウマチ性脊椎炎
- 椎間板ヘルニア
- 脊椎分離症/すべり症
- 腰部脊柱管狭窄症
- 骨粗鬆症性圧迫骨折
- 脊柱側弯症
- 脊椎腫瘍/脊髄腫瘍
- 悪性腫瘍の転移
- 化膿性脊椎炎
- 脊椎カリエス(結核)
- 外傷によるもの(骨折など)
痛みの原因が分からずお悩みの方は脊椎・脊髄の専門医へ
脊椎・脊髄に関する病気は、さまざまな症状が出ることから、誤った診療科を受診して原因がわからずに症状が悪化することも珍しくありません。
何が原因か思い当たらない痛みやしびれが出たら、脊椎・脊髄の専門医を受診して検査をすることをおすすめします。