脊椎・脊髄疾患にかかわる病名(病気)の種類・一覧
腰や首などの部位が直接痛みが出るのはもちろんですが、脊椎の疾患の場合、手足の痛みやしびれが出たり、めまいや肩こりがひどくなるなど、さまざまな症状が出るのがその特徴だと言えます。脊髄を通っているさまざまな神経が圧迫されることで痛みやしびれが出ることがありますが、それが悪化すると歩行が困難になったりするなど、日常生活に支障が出ることもあります。
また、肩こりや腰痛をそのまま放置していたら、耳鼻咽喉科や歯科、さらにはうつ状態などの思いもよらない症状につながることもあるため、良くなるだろうと放置をするのではなく、専門医に相談の上検査を受け、適切な治療を始めるのがよいでしょう。日頃の症状をチェックしながら、気になることがあったら早めに専門医を受診することをお勧めします。
脊椎や脊髄に関する主な病名には下記のようなものがあります。
- 頚椎症(けいついしょう)
- 脊柱変形症(せきちゅうへんけいしょう)/脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)後弯症、前弯症
- 腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
- 脊椎すべり症(腰椎分離症/分離すべり症/変性すべり症)
- 腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんへるにあ)
- 後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)
- その他の脊椎・脊髄疾患
次は、それぞれの病気について解説します。
頚椎症(けいついしょう)
頚椎症とは、加齢に伴って頚椎の椎間板や椎骨が変形または損傷することで、脊柱管(せきちゅうかん)や椎間孔(ついかんこう)の狭窄(きょうさく)をきたして症状が現れる疾患です。それによって頚部の痛みなどの症状が生じたものを総称して、頚椎症と言います。
そのうち、脊髄が圧迫されることによって生じる疾患を頚椎症性脊髄症、神経根が圧迫されて生じる疾患を頚椎症性神経根症と言います。早期発見・治療が重要であり、治療が遅れると重篤な神経障害を引き起こすことがあります。
脊柱変形症/脊柱側弯症(後弯症、前弯症)
脊柱変形とは、正常な脊柱の配列(アライメント)が崩れ、弯曲(わんんきょく)したりする状態のことを言います。
脊柱変形には、「前に曲がる(前弯症)」、「後ろに曲がる(後弯症)」、「横に曲がる(側弯症)があります。この中で有症者が最も多いのが側弯症です。
側弯症は、背骨(脊椎)が横に曲がる疾患のことで、大きく分けると2つのタイプがあります。1つ目は、小児期の側弯症、もう1つは60歳代前後から変形が進行する成人期の側弯症です。
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
腰部脊柱管狭窄症とは、背骨が変形することで椎間板などから突出した骨などにより、神経の通る脊柱管が狭くなって(狭窄といいいます)、それによって神経が圧迫を受け、神経の血流が低下して痛みやしびれなどの症状がでる病気のことを言います。
脊椎すべり症(腰椎分離症)
脊椎すべり症とは、椎間関節や椎間板が変性することなどによって脊椎(背骨)を構成する椎骨がずれが生じて腰痛を引き起こす病気です。脊椎すべり症には、脊椎分離症を伴っている「分離すべり症」と、分離症を伴わない「変性すべり症」の2種類があります。
腰椎分離症とは、腰椎にある5つの椎体と椎弓(椎骨の後方部分)との間に圧力がかかり疲労骨折を起こす状態のことを言います。
分離すべり症
分離すべり症は、腰を後ろに反らす動作や回す動作を繰り返し行うことにより、腰に過剰な負荷がかかることで関節突起間部のずれに生じた疲労骨折が治らないまま分離した状態となっていることをいいます。
変性すべり症
変性すべり症は、疲労骨折がない状態でも、加齢に伴って椎間板が変性し不安定となり、椎体のずれを生じた状態のことを言います。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは、腰の背骨の椎骨と椎骨の間にある椎間板が変性し、組織の一部が飛びだした状態のことをいいます。このとき、飛びだした椎間板の一部が背骨の中にある脊柱管の神経を圧迫し、腰や足に激しい痛みやしびれなどの症状を起こします。
後縦靭帯骨化症
後縦靭帯骨化症とは、背骨(椎骨)を繋ぐ後縦靭帯(こうじゅうじんたい)が何らかの原因で、骨のように硬くなってしまう状態のことをいいます。骨化して厚くなった後縦靭帯が脊柱管を通っている神経を圧迫し、様々な症状を引き起こします。日本では厚生労働省によって特定疾患として難病に指定されています。
脊椎腫瘍/脊髄腫瘍
脊椎腫瘍は、脊柱や脊椎骨に発生する腫瘍で、原発性脊椎腫瘍と転移性脊椎腫瘍があります。脊髄腫瘍は、脊髄および脳脊髄を保護する膜(軟膜・くも膜・硬膜)から発生する腫瘍です。こちらも原発性の腫瘍と転移性の腫瘍があります。
その他の脊椎・脊髄疾患
上記以外にも化膿性脊椎炎や脊椎カリエス(結核)といった疾患があります。
この首腰の痛み、脊椎・脊髄の病気かも… 心配な方は専門医へ
脊椎・脊髄の疾患は、広範囲にわたり様々な症状がでるため、症状が続く方は、脊椎・脊髄専門医の受診をおすすめします。
整形外科はその医師によって専門分野が違い、脊椎・脊髄(首・腰)を専門で診察する医師がいます。まずは、CT・MRIなどの画像検査を行い、ご自身の状態を正確に知り、適切な治療を行っていきましょう。